SENDAI CITY LIFE MAGAZINE

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【参院選2022】引っ越したばかりでも新しい住所で投票できる?

6月22日に公示された参院選。様々な争点がある大事な国政選挙ですが、個人的にひとつ気になっていることがありました。それは、

今年の春に盛岡市に引っ越してきたけど、岩手県で投票できるの……?

というものでした。

宮城から引っ越して間もないため、場合によっては宮城県で投票することになるのではないかと心配になり、引っ越し後すぐに選挙があった場合、どのような扱いになるのか調べてみました。

公示日の前日までに3か月以上住み続けていれば転入先で投票可能

結論から言うと、公示日の前日までに3か月以上住み続けていれば転入先で投票可能です。ただし、転入届を出して住民票を移していることが条件です。

各市区町村の選挙管理委員会では「選挙人名簿」有権者の管理をしています。選挙人名簿は選挙の公示日の前日に登録が行われ、①日本国民で満18歳以上であり、②選挙権を失う条件*1に該当せず、③3か月以上その市区町村の住民基本台帳に記録されている、という3要件を満たせば、選挙人名簿に登録*2され、転入先での投票が可能になります。

ちなみに私は今年の3月15日に住民票を移しているため、ギリギリですが岩手県で投票が可能です。

3か月要件がある理由は不正投票を防ぐため

なぜ「3か月以上住み続けていれば」という要件があるかというと、不正投票を防ぐのが一番の理由と言われています。

この3か月要件がなければ、支援している政治家への投票数を多くさせるため、支援グループが住民票を移して組織票を入れる、ということが起こる可能性があります。首長選挙の度にある団体の人たちが住民票を移しては戻し……などの不正を防ぐために、選挙人名簿の変更は3ヶ月間の移行期間を設けているのです。

国政選挙では、住民票を移してから3か月以上経過していない場合は旧住所で投票可能

では、たとえば今年4月に引越しをして、住民票を移してから3か月以上経過していない場合はどうなるのでしょうか。

今回の参院選のような国政選挙では、住民票を移してから3か月以上経過していない場合は旧住所で投票可能です。*3

この場合、旧住所の投票所に行く必要がありますので、遠方で投票に行けない方は不在者投票制度を利用することになります。

国政選挙でも投票ができなくなるケース

国政選挙は原則として満18歳の日本国民であれば選挙権が与えられるため、引っ越しによって選挙権を失うことはほとんどありません。例外として、旧住所で転出届を出した後、新住所に転入届を出していない場合は、どの選挙人名簿にも登録されず、投票ができなくなる可能性があります。

都道府県選挙や市区町村選挙の場合は条件が異なる

今回は国政選挙ですが、都道府県選挙や市区町村選挙の場合は条件が異なります。

たとえば都道府県選挙(知事選や県議選)の場合、引越し前に同じ都道府県内の住所に3か月以上住んでいれば、新住所に3か月以上住んでいなくても投票可能です。しかし、別の都道府県に転出した時点で投票はできなくなります。

私のように宮城県から岩手県に引っ越した場合、転出届を出した時点で宮城県都道府県選挙および市区町村選挙には投票できず転入届を出してから3か月以上経過していないと岩手県都道府県選挙や市区町村選挙に投票できないということになります。

候補者や政党の情報・政策を調べられるサイト・サービス

ということで、今回の参院選で自分は岩手選挙区で投票することになります。このブログでも個人的に岩手選挙区の状況および候補者情報に関して、別記事で紹介する予定です。

その前に候補者の情報を集めたいなと思うのですが、何を見ればいいのでしょうか。最後に、インターネット上でも情報を得られるサイトやサービスをいくつか載せておきます。

選挙公報

選挙公報とは選挙に際して立候補した全ての候補者や政党の政見などを記載した文書のことです。紙面が限られているため、候補者が強調したい政策や実績などが簡潔に書かれており、また候補者ごとの特色が濃く出るため、個人的にはとても面白く、投票の際の参考になります。

近年、インターネット公開が行われるようになり、国政選挙では各県のホームページ上で公開されることが多いです。ただし、公示日直後はまだ公開されていないことが多く、公示から数日経過してから各候補の選挙公報を閲覧できるようになります。

岩手県 - 候補者・名簿届出政党等情報(選挙公報含む。)

候補者自身のHPやSNS

多くの候補者はホームページを開設し、プロフィールや政策などを細かく掲載しています。また、最近はTwitterなどのSNSのアカウントを作る候補者も増えてきました。これらは候補者自身または候補者陣営によって発信され、選挙演説の日時や場所などを投稿してくれることもあり、情報収集には非常に便利です。

ボートマッチ

近年の選挙では、ボートマッチと呼ばれる有権者と立候補者、または有権者と政党の考え方の一致度を測定することができるサービスが大手新聞社などから提供されています。2022年の参院選でも、すでにいくつかのボートマッチが公開されています。

毎日新聞ボートマッチ えらぼーと 2022参院選

読売新聞ボートマッチ【参院選2022】あなたの考えに近い政党は?

JAPAN CHOICE

選挙ドットコムのキーワード分析・重点政策アンケート

選挙ドットコムというサイトでは、各政治家のTwitterやアンケート等から抽出したキーワード分析や、独自の重点施策アンケートの結果などを公開しています。

第26回参議院選挙[参院選2022]|選挙ドットコム

zero選挙の候補者アンケート

日本テレビnews zeroはJX通信社と合同で候補者にアンケートを行い、結果を公開しています。「同性婚を法律に明記すること」や「選択的夫婦別姓制度」などの項目についても、賛成か反対か、候補者の考えを確認することができます。政党自体の考え方を比較するサイトが多い中で、候補者個人にフォーカスして比較を行える点が特徴です。

候補者アンケート|zero選挙2022(参議院選挙)|日本テレビ

 

参考資料

引越しをしたら選挙権はどうなる?不在者投票も解説 | スマート選挙ブログ

引越したときの選挙権の全知識|投票できないケースやすべき手続きまとめ

総務省|選挙人名簿

 

*1:禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者」など、6つの条件があります。詳しくは総務省|選挙権と被選挙権を参照してください。

*2:選挙人名簿は各選挙の公示日の前日の他、毎年3月、6月、9月、12月(登録月)の原則1日に定期的に行われています。

*3:住所の移動と選挙人名簿の登録基準日との関係で旧住所・新住所のいずれの選挙人名簿の登録要件をも満たさない方について、旧住所で投票ができるように2016年に公職選挙法が改正されています。よって、新住所に3か月以上住み続けていない方は旧住所での投票が可能です。

公職選挙法改正(選挙人名簿の登録制度の改正法)